東信偏愛女子チームのひなぽんです。
ふと気が向くと、ふらりと神社仏閣を訪ねています。
自然豊かで、時代を超えてその土地を守り、どんな人をも受け入れてきた懐の深さ。そんな神社仏閣でお参りをすると、癒され、すっと心が整います。
上田市の塩田平エリアは神社仏閣の宝庫。とくに独鈷山麓は“信州の鎌倉”と呼ばれ、鎌倉時代から室町時代にかけて建立された神社仏閣が密集しています。ぶらぶら散策するととても気持ちがいい!
なかでも前山寺は、ほかの寺院では体験できないような特別なひとときを過ごせます。さっそく紹介していきましょう。
緑豊かな参道を通り、山門をくぐると、正面の石段の上に見えるのは三重塔(国重文)。
室町時代の建立とされ、作りかけと思われる部分が見受けられるものの、なんの違和感もなく調和している美しい姿から「未完成の完成の塔」と言われています。
前山寺は四季折々の花が咲く、「花の寺」としても有名。とくに5月上旬のフジの花は圧巻!
これからの秋の季節は三重塔の正面左側に聳え立つイチョウの木がみごとに黄色く色づくので、ぜひ見ていただきたいです。
看板に従って本堂脇の道を進むと、入口があり、そこで写経体験とくるみおはぎの受け付けを行っています。
※いずれもお寺の行事等により開催日や空き状況等が変動するため、事前にご予約のうえお越しいただくのがおすすめです(当日も空きがあれば対応してくださいます)。
まずは写経から。今回案内されたのは御本尊が安置されている本堂すぐ横のスペース。
一般の参拝客も入らない御本尊のすぐそばで写経体験ができるという、なんとも貴重で特別な空間! 贅沢です。※別の場所で行う場合もあります。
机の前に座ると、まず塗香を渡されます。個人的に、これは過去にほかの寺院で体験した写経では無かったこと。
指でほんの少しつまみ、左手の薬指の下の位置に置いたら両手をこすり合わせ、体へも塗り広げるような振りをして身を清めます。
そこからは集中して一文字一文字、般若心経の262文字を書き写していきます。
ペンなどを持参するよう求められる寺院もありますが、前山寺では体験用に墨汁と筆ペンなど道具はすべて用意されているため、気軽に参加できるのもポイント。
「写経は仏様の功徳をいただいたり、祈願をしたりするために行います。静かに自身と向き合う、そんな時間にしてもらえたらと思います」と、御住職。
一文字ずつ丁寧に。心がけるものの、頭にはいろいろな考えがよぎります。そして気がつくと緊張からなのか、つい息を詰めてしまう……。
煩悩に囚われながらも、普段さまざまな情報にさらされ、頭がフル回転している現代社会において、こうして静かに一つのことに集中する時間はとても大事だなと感じます。
徐々に思考や心も静まり、無心で書き進めます。
般若心経を書き終えたら、最後に氏名と祈願内容を書いて納めます。時間にして約1時間。なんだか清々しい気持ちです。
通常の写経体験以外にも、年4回、硯に墨をすって書く本格的な写経会も実施しているそうです。
昭和30年代に先々代の御住職のご婦人(長野県初の栄養士だったそう!)が檀家さんへの接待として作り始め、評判を呼び、昭和50年頃から参拝客へも提供されるようになりました。
塩田産の餅米で作ったおはぎは程よい弾力があり、境内でとれる鬼胡桃で作るというタレは甘さ控えめでベストマッチ。
おはぎの上に線のように細く切られたキュウリが添えられているのも良いアクセントです。
向付に、こちらもお寺でとれて手作りしているという梅の紫蘇巻きと紫蘇の実の味噌漬けも添えられていて、ほうじ茶と緑茶をブレンドしているお茶ともよく合います。
これが本当に美味しい!! ファンやリピーターが多いのも納得。しかも塩田平の絶景を眺めながらいただくという、このひとときは格別です。時間を忘れてゆったりと過ごせます。
「何かきっかけを求めて来られる方に、前山寺の境内を見て回ったり、お参りしたり、写経やくるみおはぎの体験を通して、自分自身で何かを感じ取って、一つでも想いを持って帰ってもらえたら嬉しいです」
御住職の言葉どおり、この場所に来ることで、普段忘れがちな心のゆとりや豊かさのようなものを、自身の五感で体感できるはず。
日常をより良く生きるためにも、たまにはこうした時間を取ってみるのも良いかもしれません。
美しい塩田平の景色を一望できる喫茶室「豆café enjyu」も併設されており、大豆や季節の野菜などを使ったランチやスイーツが人気で、こちらもおすすめ(土・日・月のみ営業。カフェは冬季休業)。
また少し足を延ばせば、戦没画学生の作品を展示する美術館「無言館」、上田紬の織物体験や買い物ができる「藤本 塩田店」、龍光院、塩野神社、中禅寺といった古刹も。
ゆっくりと散策し、塩田平の心地よい空気感を味わいながら、自身と向き合う特別なひとときをお過ごしください。
前山寺DATA
上田市を中心に活動する女性クリエイターチーム。それぞれの「好き!」をそれぞれの視点で掘り下げ、東信の暮らしを楽しんでいる。
全員一度県外に出たUターン&県外からの移住者だからこそ感じる東信の魅力を感性のおもむくままに取材し、お出かけ情報・暮らし情報を発信します!
メンバーと得意分野 紹介
アユミ(デザイナー)/登山・アート・音楽・美容
ちーやん(編集者・広報)/動物・自然・スーパー・移住暮らし
ひなぽん(イラストレーター・編集者)/ご当地のグルメ・喫茶店・文化・温泉・居酒屋
サポーターさちぽん/グルメ(特にワイン・蕎麦)・イベント
ふと気が向くと、ふらりと神社仏閣を訪ねています。
自然豊かで、時代を超えてその土地を守り、どんな人をも受け入れてきた懐の深さ。そんな神社仏閣でお参りをすると、癒され、すっと心が整います。
上田市の塩田平エリアは神社仏閣の宝庫。とくに独鈷山麓は“信州の鎌倉”と呼ばれ、鎌倉時代から室町時代にかけて建立された神社仏閣が密集しています。ぶらぶら散策するととても気持ちがいい!
なかでも前山寺は、ほかの寺院では体験できないような特別なひとときを過ごせます。さっそく紹介していきましょう。
前山寺とは
真言宗のお寺で、御本尊は大日如来。弘仁3年(812)、空海が独鈷山を護摩修行の霊場として開創し、元弘元年(1331)に讃岐国・善通寺から来た長秀上人によって現在の地へ移転され、前山寺を開山しました。緑豊かな参道を通り、山門をくぐると、正面の石段の上に見えるのは三重塔(国重文)。
室町時代の建立とされ、作りかけと思われる部分が見受けられるものの、なんの違和感もなく調和している美しい姿から「未完成の完成の塔」と言われています。
前山寺は四季折々の花が咲く、「花の寺」としても有名。とくに5月上旬のフジの花は圧巻!
これからの秋の季節は三重塔の正面左側に聳え立つイチョウの木がみごとに黄色く色づくので、ぜひ見ていただきたいです。
本堂で行う写経体験
立派な茅葺き屋根の本堂でお参りし、ふと目をやると「くるみおはぎ」の文字が。看板に従って本堂脇の道を進むと、入口があり、そこで写経体験とくるみおはぎの受け付けを行っています。
※いずれもお寺の行事等により開催日や空き状況等が変動するため、事前にご予約のうえお越しいただくのがおすすめです(当日も空きがあれば対応してくださいます)。
まずは写経から。今回案内されたのは御本尊が安置されている本堂すぐ横のスペース。
一般の参拝客も入らない御本尊のすぐそばで写経体験ができるという、なんとも貴重で特別な空間! 贅沢です。※別の場所で行う場合もあります。
机の前に座ると、まず塗香を渡されます。個人的に、これは過去にほかの寺院で体験した写経では無かったこと。
指でほんの少しつまみ、左手の薬指の下の位置に置いたら両手をこすり合わせ、体へも塗り広げるような振りをして身を清めます。
そこからは集中して一文字一文字、般若心経の262文字を書き写していきます。
ペンなどを持参するよう求められる寺院もありますが、前山寺では体験用に墨汁と筆ペンなど道具はすべて用意されているため、気軽に参加できるのもポイント。
「写経は仏様の功徳をいただいたり、祈願をしたりするために行います。静かに自身と向き合う、そんな時間にしてもらえたらと思います」と、御住職。
一文字ずつ丁寧に。心がけるものの、頭にはいろいろな考えがよぎります。そして気がつくと緊張からなのか、つい息を詰めてしまう……。
煩悩に囚われながらも、普段さまざまな情報にさらされ、頭がフル回転している現代社会において、こうして静かに一つのことに集中する時間はとても大事だなと感じます。
徐々に思考や心も静まり、無心で書き進めます。
般若心経を書き終えたら、最後に氏名と祈願内容を書いて納めます。時間にして約1時間。なんだか清々しい気持ちです。
通常の写経体験以外にも、年4回、硯に墨をすって書く本格的な写経会も実施しているそうです。
塩田平の絶景を眺めながらいただく“くるみおはぎ”
もう一つ前山寺の最大の魅力は、お寺お手製のくるみおはぎがいただけること。昭和30年代に先々代の御住職のご婦人(長野県初の栄養士だったそう!)が檀家さんへの接待として作り始め、評判を呼び、昭和50年頃から参拝客へも提供されるようになりました。
塩田産の餅米で作ったおはぎは程よい弾力があり、境内でとれる鬼胡桃で作るというタレは甘さ控えめでベストマッチ。
おはぎの上に線のように細く切られたキュウリが添えられているのも良いアクセントです。
向付に、こちらもお寺でとれて手作りしているという梅の紫蘇巻きと紫蘇の実の味噌漬けも添えられていて、ほうじ茶と緑茶をブレンドしているお茶ともよく合います。
これが本当に美味しい!! ファンやリピーターが多いのも納得。しかも塩田平の絶景を眺めながらいただくという、このひとときは格別です。時間を忘れてゆったりと過ごせます。
「何かきっかけを求めて来られる方に、前山寺の境内を見て回ったり、お参りしたり、写経やくるみおはぎの体験を通して、自分自身で何かを感じ取って、一つでも想いを持って帰ってもらえたら嬉しいです」
御住職の言葉どおり、この場所に来ることで、普段忘れがちな心のゆとりや豊かさのようなものを、自身の五感で体感できるはず。
日常をより良く生きるためにも、たまにはこうした時間を取ってみるのも良いかもしれません。
「信州の鎌倉」周辺散策もおすすめ
前山寺の境内に隣接する美術館「KAITA EPITAPH 残照館」には、村山槐多をはじめとする夭折の画家の作品が展示されています。美しい塩田平の景色を一望できる喫茶室「豆café enjyu」も併設されており、大豆や季節の野菜などを使ったランチやスイーツが人気で、こちらもおすすめ(土・日・月のみ営業。カフェは冬季休業)。
また少し足を延ばせば、戦没画学生の作品を展示する美術館「無言館」、上田紬の織物体験や買い物ができる「藤本 塩田店」、龍光院、塩野神社、中禅寺といった古刹も。
ゆっくりと散策し、塩田平の心地よい空気感を味わいながら、自身と向き合う特別なひとときをお過ごしください。
前山寺DATA
住所 | 上田市前山300 |
参拝時間 | 9:00〜16:00 |
入山料 | 大人200円(高校生100円、小・中学生50円) |
電話 | 0268-38-2855 |
備考 | 写経/9:00〜14:00、1,000円(くるみおはぎ付き1,800円) くるみおはぎ/10:00〜15:00、900円 いずれも木・金曜(変動あり)および12〜3月休み ※法事・行事により受けられない場合があるため、いずれも事前予約がおすすめです。畳の保護のため、靴下の着用をお願いします。 |
東信偏愛女子とは……
上田市を中心に活動する女性クリエイターチーム。それぞれの「好き!」をそれぞれの視点で掘り下げ、東信の暮らしを楽しんでいる。
全員一度県外に出たUターン&県外からの移住者だからこそ感じる東信の魅力を感性のおもむくままに取材し、お出かけ情報・暮らし情報を発信します!
メンバーと得意分野 紹介
アユミ(デザイナー)/登山・アート・音楽・美容
ちーやん(編集者・広報)/動物・自然・スーパー・移住暮らし
ひなぽん(イラストレーター・編集者)/ご当地のグルメ・喫茶店・文化・温泉・居酒屋
サポーターさちぽん/グルメ(特にワイン・蕎麦)・イベント
この記事を書いたライター
ひなぽん
イラストレーター・編集者|千葉県出身。書店に入り浸る学生生活の後、出版社で旅行雑誌の編集者となる。全国各地を取材した経験から、ローカルに魅力を感じ、2017年に上田市に移住。観光関係の広報の仕事や、イラストレーターとして活動中。手相鑑定士でもある。趣味はレトロな風景を求め旅に出ること。とくに喫茶店や工芸品、温泉などが好き。
イラストレーター・編集者|千葉県出身。書店に入り浸る学生生活の後、出版社で旅行雑誌の編集者となる。全国各地を取材した経験から、ローカルに魅力を感じ、2017年に上田市に移住。観光関係の広報の仕事や、イラストレーターとして活動中。手相鑑定士でもある。趣味はレトロな風景を求め旅に出ること。とくに喫茶店や工芸品、温泉などが好き。
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