東信偏愛女子チームのひなぽんです。
長野県は日本で2番目に酒蔵の数が多いことをご存知でしょうか。
日本酒がだいすきなひなぽんは、日々さまざまな県内の日本酒を飲んでは、長野県の日本酒はレベルが高いなー!と感嘆しております。
なかでも東信地域は、上田エリアに6蔵、佐久エリアには13蔵も。
どの蔵も切磋琢磨し、研究を重ねながらおいしいお酒を醸し続けています。
今回は、そんな佐久エリアの「戸塚酒造」へ。
隣の小諸市にある天然の冷蔵庫「氷風穴」で長期熟成しているという超貴重な日本酒があると知り、伺ってきました!
今回は、そんな佐久エリアの「戸塚酒造」へ。
隣の小諸市にある天然の冷蔵庫「氷風穴」で長期熟成しているという超貴重な日本酒があると知り、伺ってきました!
天然の冷蔵庫。小諸市の「氷風穴(こおりふうけつ)」
夏でも冷蔵庫のようにひんやりと冷たい風穴。風穴とは、地下の岩の隙間で冷やされた冷気が噴き出す場所のことです。
湿度は100%前後と高いものの、今年のような猛暑の夏でも、風穴の中は常に2〜5℃程度!
年間を通して大きな温度変化がないことも特徴です。
氷風穴は、江戸の元禄年間(1688〜1704)から利用され始め、当時は凍氷を貯蔵し、藩主に奉納していました。
明治時代に入ると日本で蚕糸業が発展し、小諸も製糸業が盛んとなったことで、周辺の農村でも蚕を飼う養蚕農家が増えていきます。
そこで年に1回、春にしかできなかった蚕の飼育を、蚕の卵(蚕種)を風穴に冷蔵保存することで年に4〜5回飼育できる技術を開発。
氷風穴では合計14もの風穴が稼働し、全国一の蚕種保存量を誇るようになったのだとか! すごい歴史です。
氷風穴に貯蔵された貴重な日本酒
現在も氷風穴へ行くと、その痕跡を見ることができ、風穴の冷たさも体感できます(5号風穴)。そしてなんと、まだ現役稼働している風穴が1基(4号風穴)。
そこに貯蔵されているのが、戸塚酒造の「寒竹 風穴貯蔵 純米大吟醸」なのです……!
今回、なんと酒蔵のご厚意で、普段は非公開の4号風穴の中を特別に見させてもらいました。ありがとうございます!!
ご覧ください、この重厚な雰囲気を。入り口からは想像がつかないほど中は広く、階段を降りた地下空間にお酒が積まれていました。ダンジョンのようでワクワクします……!!
この日、外は35℃以上ありましたが、中は1℃!! かなり寒いです。まさに天然のエコ冷蔵庫。こんなものを作り出してしまう先人の知恵に脱帽です。
そしてこの環境が、日本酒をおいしく作るために最適な保管場所なのだそう。
戸塚酒造では、美山錦の酒米を使用した純米大吟醸の生酒を、毎年500〜600本ほどここに貯蔵し、3〜4年熟成させてから火入れして販売します。
2016年から始めた取り組みで、現在販売しているのは2020年に貯蔵したもの。長期熟成することで角が取れ、まるみのある味わいになるのだとか。
地域の自然や文化を生かして熟成されたお酒。これはぜひとも飲みたい!! 氷風穴を後にし、戸塚酒造の蔵元へと向かいます。
県内3指に入る老舗酒蔵「戸塚酒造」
承応2年(1653)に創業した戸塚酒造。戸塚酒造がある佐久市の岩村田は古くから交通の要衝として栄え、中山道の宿場町として発展しました。
初代は駿河国(現・静岡県掛川市)からこの地に移り住み、徳川家の家臣として周辺の統治を任され、駿河で学んだ酒造知識を生かして酒造りを始めたそう。現在は16代目という長い歴史を誇ります。
代表銘柄は「寒竹」。長野県産の米と、米由来の醸造アルコール、八ヶ岳山麓の伏流水ですっきりとした酒を作っています。
なかでも毎日飲んでも飲み疲れせず、飲む人の心をほどきながら一杯を楽しめる、「普通酒」にこだわりを持っています。
一方、令和5酒造年度の全国新酒鑑評会では「寒竹 大吟醸」が金賞を受賞! 全国からも注目を集めている酒蔵です。
日本酒のほかにもさまざまな酒造りに挑戦
直売所でまずはお目当ての風穴貯蔵の純米大吟醸をゲット。ほかにも多数のお酒が並んでおり、よく見ると、日本酒以外にも焼酎や“アクアヴィット”という見慣れぬお酒もあります。
じつは戸塚酒造では日本酒以外にも、もう70年近く焼酎も作っているのだとか!
そば・芋・麦のほか、原料にトマトを使用しているという珍しい焼酎も。
軽井沢産の原料にこだわった芋焼酎「こてさんね」、麦焼酎「しろがっぱ」は軽井沢のツルヤなどでも販売されており、お土産にも重宝されているそうです。
また2022年には、国内初のアクアヴィット「とりのす」も開発。
アクアヴィットとは、15世紀に登場したジャガイモと麦芽を原料とした北欧の蒸留酒のことで、日本らしく麦芽の代わりに米麹を使い、独自のボタニカルブレンドで仕上げています。
インパクトがありながらも爽やかな余韻の残る味わいで、ソーダやグレープフルーツジュース、ココアなど、好きな組み合わせで割って楽しめます。
今後、クラフトジンやウイスキーなど、新たな酒造りにも挑戦していきたいそう。
地域の風土を守り受け継ぎながらも、時代に合わせてチャレンジし続ける老舗酒蔵に、今後も目が離せません!
ちなみに戸塚酒造のお酒は、直売所のほかにも軽井沢を中心とした東信エリアのスーパーや酒店、インターネットでも購入できるので、ぜひチェックしてみてください。
★ おまけ ★
帰宅してさっそく風穴貯蔵の純米大吟醸をいただきました。
熟成による濃厚な旨味がありながら、甘くなめらかな味わいで、味付けの濃い料理との相性抜群。とってもおいしかったです!
住所 | 長野県佐久市岩村田752番地 |
営業時間 | 8:00〜17:00 |
定休日 | 日曜・祝日、土曜(不定期) |
HP | https://www.kanchiku.com/ |
東信偏愛女子とは……
上田市を中心に活動する女性クリエイターチーム。それぞれの「好き!」をそれぞれの視点で掘り下げ、東信の暮らしを楽しんでいる。
全員一度県外に出たUターン&県外からの移住者だからこそ感じる東信の魅力を感性のおもむくままに取材し、お出かけ情報・暮らし情報を発信します!
メンバーと得意分野 紹介
アユミ(デザイナー)/登山・アート・音楽・美容
ちーやん(編集者・広報)/動物・自然・スーパー・移住暮らし
ひなぽん(イラストレーター・編集者)/ご当地のグルメ・喫茶店・文化・温泉・居酒屋
サポーターさちぽん/グルメ(特にワイン・蕎麦)・イベント
この記事を書いたライター
ひなぽん
イラストレーター・編集者|千葉県出身。書店に入り浸る学生生活の後、出版社で旅行雑誌の編集者となる。全国各地を取材した経験から、ローカルに魅力を感じ、2017年に上田市に移住。観光関係の広報の仕事や、イラストレーターとして活動中。手相鑑定士でもある。趣味はレトロな風景を求め旅に出ること。とくに喫茶店や工芸品、温泉などが好き。
イラストレーター・編集者|千葉県出身。書店に入り浸る学生生活の後、出版社で旅行雑誌の編集者となる。全国各地を取材した経験から、ローカルに魅力を感じ、2017年に上田市に移住。観光関係の広報の仕事や、イラストレーターとして活動中。手相鑑定士でもある。趣味はレトロな風景を求め旅に出ること。とくに喫茶店や工芸品、温泉などが好き。
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